こんにちは、鍼灸師の佐藤です。
我々は日本の伝統医療は漢方薬をはじめとした東洋医学と認識していますが、実際にはどのように人々の間で行われていたかご存じの方は少ないと思います。
今回は古い時代の記録や読み物に出てくる医療のエピソードのあれこれを集めてみました。
まず頭に浮かぶ漢方薬ですが、江戸時代でも医師(漢方医や鍼医)にかかり治療を受けられるのは、身分の高い人たちだけだったようで、庶民は「自分の病気は自分で治す」という生活意識が高かったようです。
もともと医師が患者を診療をしてから生薬を調合して薬を作っていました。
そして診療とは別に売薬(何々の症状にキクというやつですね)もしていました。
医師に代わって生薬屋(きぐすりや)が薬を販売するようになると、一般の人も気軽に薬を利用出来るようになっていきます。
女性の症状に対応する売薬も多く存在し、多くの人に求められたそうです。
売薬の種類によって値段の幅が広く、薬の内容によっては朝鮮人参や熊胆など庶民には全く手が届かない高価な薬もありました。
江戸時代後期に「江戸買物独案内」という案内本があり、その中の江戸の売薬の有名なものとして「賽母散」「清婦湯」「神効丸」「錦袋圓」「五臓圓」などの記載があります。
売薬は200種類以上が発売されていたようで、庶民の生活に溶け込んでいた様子が伺えます。
一方で、江戸時代やそれ以前では薬や鍼よりも、灸が身近な治療であり、書物に出てくる回数も増えます。お灸が日本に伝えられたのは仏教や中国の医学書の伝来と同時期の六世紀ころだと言われています。伝来当初から、化濃した傷にお灸を据えて膿を出すなど、外科的にも用いられていました。
鎌倉時代に入ってから仏教の僧が医師を兼ねていたこともあり、仏教の広がりと共に庶民の間でもお灸が盛んになっていったようです。
【様々な書物に登場するお灸】
平安時代の公家、九条兼実が書いた生活記録「玉葉」には養生としてお灸が用いられていることが記されています。
歌人である藤原定家の日記「明月記」にも、定家が気管支喘息、リュウマチの症状に悩まされ、これらに対して施灸を行っていたと言いう記述があります。
「玉葉」や「明月記」からは、暦に基づいてお灸を据える日時が決まっていたことが分かります。吉田兼好の有名な随筆「徒然草」では、「四十以後の人、身に灸を加えて、三里をやかざれば、上記の事あり。必ず灸すべし」とあり、長寿の為に足三里にお灸を据える習慣を進める一文があります。
上記のように広まっていったお灸ですが、江戸時代に日本独自のお灸があみ出され、独自のスタイルを築くようになり、さまざまな灸法が成立していきます。
地域性のある灸法や、家伝の灸も見られるようになります。
このころにはお灸はほぼ現在と同じ据え方が確立しています。
できものを焼いて膿を出したり、イボを焼き切って取り除くなどの外科的治療やできものの上に山椒やショウガなどを混ぜ合わせたものを乗せて、その上に艾を置いて治療する隔物灸、また経穴の文献に基づいて、内臓と関係のあるツボに灸を据えるという方法が研究され、灸療法の整理が行われていきます。
江戸中期以降は養生としてのお灸が庶民の間で盛んに行われるようになり、貝原益軒の「養生訓」でもお灸の製法から効用、施灸後の注意点などが細かく記され、健康法としてお灸がすすめられています。
井原西鶴の「好色五人女」にもお灸が登場します。
主人公の茂右衛門が下女のりんにお灸を据えてもらう場面があり、リンがお灸を据えるために茂右衛門の肌にふれるところから関係が始まります。
このような「お灸から始まる恋愛」は当時の文学作品に多く見られるようです。
松尾芭蕉の「奥の細道」では冒頭序文に「ももひきの破れをつづり、笠の緒を付けかえて、三里に灸据えるより、松島の月先ず心にかかりて」という有名なものがあります。
旅人は自分の足だけが頼りなので、旅の準備として養生の為に足三里にお灸を据え、旅の途中でも足の疲れを取るために、足三里にお灸を据え続けていました。
もぐさは旅人の必需品であり、旅人は自分自身をお灸でケアしていたのが伺えます。
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